ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(PART 2)

ムカデを例にした横分子蛇腹法の設計実例




[688] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(22) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/10(Tue) 22:11

-----現在進行形でムカデを設計してみます(1)-----

現在進行形なので紆余曲折すると思いますが(っていうか途中であきらめるかもしれませんが)ムカデを設計してみます。
オオムカデ類は体節21か23、足も21対か23対だそうなので、足が21対のムカデを目指します。

まずはマス目の準備。中央部に微妙に太い線が一本ありますが、これは用紙の中心線のつもりです。
なお、図は、このままではつぶれて見にくいので、図のところにマウスカーソルを持っていってダブルクリックしてもらうと見やすい図が開かれます。



[689] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(23) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/10(Tue) 22:43

基本枝構造です。

[690] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(24) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/10(Tue) 23:30

まずは頭部の設計。それにしても、ムカデの目ってどんなだっけ?

[691] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(25) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/10(Tue) 23:57

体節1個と背中のヒダ1個を加える。
なお、この設計に等高数は0と1の2通り

[692] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(26) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 00:12

背中のヒダ21個を確保



[693] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(27) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 01:46

尻尾の突起(?)のようなもの。



[694] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(28) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 02:12

とりあえず、左半分で足を折るのに必要な正方形領域21個を置いてみる。



[695] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(29) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 02:25

[694]では結構用紙内部に余裕があるので、足の長さを3から4に変更してみる



[696] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(30) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 02:52

足を長くしたのにあわせて、頭部の構造を変えてみる。

[697] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(31) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 03:23

足を長くしたのにあわせて、尾部の構造も変えてみる。

[698] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(32) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 03:34

用紙の配置を[696],[697]にあわせて修整



[699] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(33) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 04:04

2足追加



[700] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(34) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 04:15

さらに1足追加



[701] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(35) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 05:07

修整しながら足を追加



[702] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(36) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 05:21

とりあえず足を追加してみる



[703] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(37) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 05:51

足が1本足りなくなりそうな予感



[704] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(38) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 06:06

やっぱり足がたりなそう、、、



[705] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(39) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 06:33

足の追加を続行中



[706] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(40) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 06:43

おお、やっぱり足21本できそう。



[707] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(41) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 06:56

とりあえずできました。



[708] すっげー 投稿者:S太郎 投稿日:2002/09/11(Wed) 16:23

うはー!すっげーすねー。
ところで、それぞれの節の間からどの足が出るのかチェックしてみたところ、図のピンクで塗った背のカドの付け根から出るカドが抜けていて、代わりに茶色の背のカドの付け根からの脚がダブっているようです。(左図)

ちょっと差し出がましいようですが、折ってから気づいたではちょっとすみそうにないので、、



[709] 無題 投稿者:S太郎 投稿日:2002/09/11(Wed) 16:27

まあ、でも、一番左(右)上のカドをずらせばいいだけなんで、修正は容易ですね

[710] 無題 投稿者:S太郎 投稿日:2002/09/11(Wed) 16:29

前言撤回

[711] S太郎さん 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 20:34

>ピンクで塗った背のカドの付け根から出るカドが抜けていて、代わりに茶色の背のカドの付け根からの脚がダブっているようです。(左図)

ガーン、確かにそうなっていますね。御指摘大変ありがとうございます。修整してみます。

[712] 激しい… 投稿者:タト 投稿日:2002/09/11(Wed) 20:52

なんだか分子の境界線と帯領域が同じくらいの線で表されているのがこの作品の規模をかんじさせます…

ピンクと茶色の間のひだの位置に来る角を一番左上のものにしてもともとそのひだが持っていた角をピンクに譲り渡せば(左から2上から3番目のかどで水色の帯を左下に通す)うまくいきますでしょうか?

[713] 修整 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 21:00

[708] で指摘していただいた不具合を厳密に修正するためには、等高数の一致に留意すると、展開図を全面的に修正しなければならないみたいですね。
そういうわけで、基本形からの表情付けの段階で外見上は不具合を感じさせなくなるような折りができるようにするということを目標にして、微修正でなんとかなるように修正してみます。

[714] あ 投稿者:タト 投稿日:2002/09/11(Wed) 21:11

私のは等高数を考慮に入れてませんでしたね…

[715] タトさん 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 21:32

>ピンクと茶色の間のひだの位置に来る角を一番左上のものにしてもともとそのひだが持っていた角をピンクに譲り渡せば(左から2上から3番目のかどで水色の帯を左下に通す)うまくいきますでしょうか?

おそらくこの図のような修正案だと思うのですが、これだと、 左から2上から3番目のかどの周囲で等高数が一致しなくなって困ってしまいます。
かといって、他に動かすような場所も無いので、厳密な修正をするためには展開図を相当広い範囲で動かす必要がありそうです。
ただ、幸いなことに、問題になっているカドの中に用紙の左上隅から出るカドが含まれていて、このカドは造形上かなり融通性があるので、これを利用すれば、展開図を全面修正しなくても、基本形からの表情付けの段階でごまかせる程度の微修正でも、外見上は修正できそうに思います。

[716] タトさん 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 21:35

ニアミスですね。
もう、ご存知のこととは思いますが、一応[715]に図を載せておきました。

[717] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(42) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 22:11

[708] で指摘していただいた不具合に対応すべく、展開図を微修正しました。
ただし、この修正は、本質的な修正というよりは、造形上でごまかせる程度にお茶を濁した修正です。



[718] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(43) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/11(Wed) 22:35

修正前後の基本枝構造の変化です。

[719] 無題 投稿者:タト 投稿日:2002/09/11(Wed) 23:45

これでずれは一升分だけになりますね。
足自体の太さが一ますなので簡単に消えるような気がしますね。

ところで等高数が一致しなくても(本当は一致している違う形の分子)うまく角を折れそうです。
ジャバラの正方形分子を裏向きにひっくり返して凹を凸に変えたものを使えば周りの等高数に応じて安定した形が得られるというものです。という方法もあるかもしれません。

[720] タトさん 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/12(Thu) 03:06

>ジャバラの正方形分子を裏向きにひっくり返して凹を凸に変えたものを使えば周りの等高数に応じて安定した形が得られるというものです。

なるほどー。実は似たようなことはチラッと考えたのですが、カドの先がつぶれてだめかなと思い込んで、見逃していました。
確かにうまく安定したとがったカドができますね。
これは使いでのある技ですね。等高数を合わせるのがずいぶん楽になりそうです。

[721] ということは 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/12(Thu) 03:13

[715]折り畳み可能そうですね。
その他のカドの周辺部分も相当簡略化できそうですね。

[723] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(44) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/13(Fri) 00:15

また別の形式での修正案です。(これは本格的な修正)
これは、用紙の縦横を1マス分づつ増やしています。
頭部の目がなくなりましたが、もともとムカデの目はほとんど目立たないためこれはこれでOKかと思います。
中央線上に横幅を増すスペースが出来たので、折りあがりのとき、胴体をくるっと丸めて立体化できます。こうすると折り目の重なりもうまく隠せそう。



[724] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(45) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/13(Fri) 00:46

緑の丸の中を洗練化してみる。
紙の厚みを分散するため、背中のヒダの中に回りの帯領域をできるだけ吸収させたいのだが、折ったあとの形との関係もあって迷うところ。



[742] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(46) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/15(Sun) 10:29

展開図の洗練化を実行したものです。



[744] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(47l) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/15(Sun) 21:24

展開図を部分的に実際に折ってみて洗練化。これが、とりあえずの最終的な設計図



[745] 折りにくい帯領域のうねり方 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/15(Sun) 21:27

非常に折りにくいパターンを見つけたのでアップしときます。このパターンが設計図中に出たら、別のうねりパターンに置き換えたほうが良いようです。

[746] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(48) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/15(Sun) 22:57

実際に折るときの目安をえるために縦分子分解してみました。
なんか中華料理の皿の模様のようなパターンがでました。



[747] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(49) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/15(Sun) 23:35

なお、[746]の縦分子分解は、帯領域ジャバラ法では、別にやる必要があるわけではありません。縦分子については、無視して設計を進めることが可能です。

[748] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(50) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/15(Sun) 23:44

あとは折るだけなのですが、実際におると丸一日以上かかるということで、うーむ、という感じです。日にちをかけて適当にひまを見つけてはすこしづつ折ってみようとは思っているのですが、、、。
このあたりは、編物しているようなかんじかもしれません。

[749] 無題 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/16(Mon) 22:53

折り易そうなパターン

[750] 無題 投稿者:S太郎 投稿日:2002/09/17(Tue) 19:18

ムカデ展開図の洗練見事です。

用紙内部の帯のうねり≒帯にもカドにもならない領域(「余領域」と勝手に呼んでいる)

なので、それをつめてできるだけ少なくすることがすなわち蛇腹における洗練といえましょうか。さらに、つめた結果あまった分の帯を辺のカドに付随させて紙厚の均一化をしている点がなるほどと思いました。しかし、これを折るのは大変そうだなあ。折っててどこがなんだかわからなくなりそうだ。

[751] S太郎 さん 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/17(Tue) 23:53

帯領域ジャバラ法、いまだ手探り状態ですが、少しづつ慣れてきて、最初に想像したよりもはるかに扱いやすい方法であるような気がしてきました。

洗練化もそうでして、余領域をいかにリズムカルに組織的に折り畳むかという問題に関して、ジャバラ系の技法の強力さを、いまさらながら実感しているところです。

特にジャバラ系の折線は45度系の折線しか出てこなくて、帯領域のうねりの基本的なパターン(カドも帯領域のうねりの一パターンとして認識しています)の数は限られますから、升目数にもよりますが、折り畳みパターンをシラミ潰しで全部網羅して、その中から最適なパターンを選択するというようなことも、そのうちに出来るようになるのではと期待しています。

>つめた結果あまった分の帯を辺のカドに付随させて紙厚の均一化をしている点がなるほどと思いました。
ここは私も大きな興味があるところなので、注目していただけてうれしいです。今回のムカデの長さ4のカドの境界部の紙厚(升目数)は用紙内部で28ですから、あまった分の帯を辺のカドに付随させる場合も、そのカドの境界部の紙厚(升目数)が28+アルファ位まではOKという方針で洗練化を行っています。
この辺部の拡張されて変形したカドの折り方もちょっとした検討でずいぶん簡単に折れそうです。

>これを折るのは大変そうだなあ。
折っててどこがなんだかわからなくなりそうだ。

  とにかく境界線の赤線を用紙に描いて、一値ジャバラ性に気をつけて折るしかない感じですね。赤線がないとかなりパニクりました。

[752] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(51) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/18(Wed) 01:24

いろいろなカド(長さ4)の折り方で結構使えそうなものの例です。

青は縦分子的に折ります。

[753] 無題 投稿者:S太郎 投稿日:2002/09/19(Thu) 17:03

>折り畳みパターンをシラミ潰しで全部網羅して、その中から最適なパターンを選択するというようなこと

わたしもそのようなこと考えていました。数え上げができるということですね。
たぶん、めぐろさんはすでに考えておられるとおもいますが、この設計システムはアルゴリズム化しておりおみたいなソフトにできそうな感じですね。

1、まず、基本枝構造を与える。
2、次に、それの横分子と帯を最小の正方形に収まるようにパッキング
3、最小のずれで等高数があうように修正
4、辺部のカドは辺に縦分子の境界をあわす
5、余領域を帯のうねりで処理
6、分子図を折り線のパターンに変換して出力

という感じでしょうか。(イウはヤスシおこるでシカシ)

ともあれ、こんな作品をつくってるのはたぶん世界でめぐろさんだけでしょうね。完成を楽しみにしています。

[754] 無題 投稿者:タト 投稿日:2002/09/19(Thu) 19:33

帯領域のうねりは左から右へ流れた帯領域を右から左にもう一度通すことでキャンセルしているという感じがあります。

>2、次に、それの横分子と帯を最小の正方形に収まるようにパッキング
ここらへん難しそうに感じました。でも実際には別に最大効率にする必要ないから案外楽なのかも。
それより
>3、最小のずれで等高数があうように修正
のほうが結構厄介かも…(効率よくパッキングされているとずれた結果、全体の配置の変更の必要性がでてきやすい。)

[753] S太郎さん 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/21(Sat) 16:31

確かに帯領域ジャバラ法は他の方法と較べたらソフトにしやすそうですね。
やはり問題となるのは、
「2、次に、それの横分子と帯を最小の正方形に収まるようにパッキング」でしょうか。よくあるナップサック問題の変形版みたいな感じがします。だとするとカドの数が増えるにつれて最適解を得る難度が急激に増大しそうですね。
最適解にこだわらなければ何とかなりそうな気はしますが、漢は最適解を目指すべし、ということになると、遺伝的アルゴリズムの導入とかが有効そうです。
しかし、面白そうではありますが、こりゃ結構大変そうですね。

[753] タトさん 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/21(Sat) 16:43

>帯領域のうねりは左から右へ流れた帯領域を右から左にもう一度通すことでキャンセルしているという感じがあります。

展開図上はまさにそうですね。ただ実際に折っているものを見たときはかなりベタな折り方だったりするときもあって、その辺のギャップがおもしろいなあと感じたりします。

>>2、次に、それの横分子と帯を最小の正方形に収まるようにパッキング
>ここらへん難しそうに感じました。でも実際には別に最大効率にする必要ないから案外楽なのかも。


そうですね、いわゆるナップサック問題的ですが、詰め込むものの数が増えた時に、実際はどの辺でバランスを取るかですね。

>3、最小のずれで等高数があうように修正
のほうが結構厄介かも…


ここも色々試す必要がありそうですね。ただ、等高数自体は非常に素直な規則にしたがって現われるので、比較的少数の等高数を扱う場合だけに限定すれば、ちょっとした条件さえ守れば、自動的につじつまがあうように等高数が合ってくれるので、意外と楽かもしれないとも思うのですが。

[757] ジャバラ系折線構成のための折紙設計システム(52) 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/21(Sat) 16:53

[744]の展開図をとりあえず折ってみました。
用紙は升目がついた薄いノートのページを貼り合わせて70cm四方の一枚の正方形にしたものです。
足をもっと細くしたいのですが、この用紙では大変そうです。
以前に別の設計方法で折ったムカデよりは改善されたと思います。

以前のムカデ
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Oak/5487/sakuhin/meguro/mukade.gif

[753] タトさん 投稿者:めぐろ 投稿日:2002/09/22(Sun) 22:52

今回の背中の襞は、設計の初期の段階から、横長の長方形状の板状パーツとして組み込めたので、割とスムーズに折れました。
帯領域ジャバラ法の利点の一つである、「形状の決まっているパーツを直接連結することによって設計を行う」ことが有効に作用してくれたのではと感じています。


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