「ずらし」パターンあれこれ

蛇腹の1/2ずらしから始まり、m/nずらし、無理数比ずらし。直角二等辺三角形の回転の幾何学




[1356] じゃばらじゃばらした折紙 投稿者:タト 投稿日:2003/07/23(Wed) 23:11

お久しぶりです。しばらく折紙からはなれていました。そろそろ再開するつもりです。lllustratorでぼちぼちと…。
立体系蛇腹系の作品…というわけでノートパソコンを折っています。

図は一部分のパターンです。1/2ずらしパターンになっています。
このような1/2ずらしパターンと整数ずらしパターンを組み合わせたりしています。出来上がったら完全な展開図と写真を投稿させていただくつもりです…。なんとかコンベンションまでに作り上げたいと思っています。

[1359] タトさん 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/24(Thu) 20:03

1/2ずらしですか。うーむ、見事な展開図ですね。こんなにきれいにまとまるのはちょっと不思議な気さえします。微妙な誤差を含んでいるのでしょうか。

または、神谷さんのスズメバチ展開図での幅の異なる蛇腹の接続部にみられるような3:4:5系等の神谷パターンが隠れているのでしょうか?

経験的には、蛇腹系の折線が崩れているにもかかわらず、その周囲で整数性が保たれているならば、何らかの神谷パターンが見つかることが多いのですがタトさんのパターンはそれとも違うような感じですね。

いずれにしろ、これだけ折線が整っているなら、たとえ誤差を含んでいたとしても、何らかの規則性が必ず潜んでいるはずなので、それがなんなのか興味深いです。

ぜひ、出来上がったものも拝見させていただきたいです。

[1362] パターン 投稿者:タト 投稿日:2003/07/24(Thu) 21:43

>微妙な誤差を含んでいるのでしょうか。
>または、神谷さんのスズメバチ展開図での
>幅の異なる蛇腹の接続部にみられるような
>3:4:5系等の神谷パターンが隠れているのでしょうか?


3:4:5系の神谷パターンの一種になると思います。グリッドを見ると分かるとおり1/2,1/3,1/1の傾きが使われています。

このパターンの場合ピタゴラスの三角形はあらわれず、
arctan(1/2)=18.435°
arctan(1/3)=26.565°
arctan(1/1)=45°
すなわちarctan(1/2)+arctan(1/3)=arctan(1/1)
という事を考えると分かりやすい気がしました。

[1363] 誤差0 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/25(Fri) 14:58

[1362] のタトさんの図をお借りして、適当に補助線を赤線で引いて見ました。
見事に、全く誤差がありませんね。感動的です。

arctanの式も見事ですね。1/7の傾きも使われているようですが、
arctan(1/7)=8.130も関与しているのでしょうか。
arctan(1/3)=18.435°
arctan(1/2)=26.565°
arctan(1/1)=45°
ですから、

arctan(1/7)+arctan(1/3)=arctan(1/2)
も成り立ちますね。なんか幾何学でこういうarctanの法則ありましたっけ。

いずれにしろ、これは新パターンではないのでしょうか?

[1365] パイ(円周率)の公式 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/25(Fri) 19:00

タトさんのarctanの式は Euler の公式 なのですね。

パイの公式のページで見つけました。
http://www.asahi-net.or.jp/~ag6k-ingc/pi/pi00.htm

ということは、これらの公式を使えば、いろんなパターンが出てきそうですね。

[1369] 1/2ずらし 投稿者:S太郎 投稿日:2003/07/27(Sun) 16:13

タトさんのパターンに比べればおもしろくありませんが、1/2ずらしについては、干渉部分内で1/2の蛇腹を使えば処理できるようです(図)。ただ、こうやって等高数とかを書き込めば内部で何がおこってるか把握しやすいかもしれません。(そう思うならやれって)

[1370] つづき 投稿者:S太郎 投稿日:2003/07/27(Sun) 17:55

やってみました。赤が一番高いところ。緑が中間。青が低いところです。少しはみやすいかと思います。

[1371] 設計への応用 投稿者:タト 投稿日:2003/07/27(Sun) 18:06

設計への応用を考えると通常の蛇腹のほうがよさそうですね。[1370]を見ると紙に直行する方向の等高数さえあわせればうまくパターンがつくれるように見えます。

[1372] という観点で見てたら 投稿者:タト 投稿日:2003/07/27(Sun) 18:22

実は非常にシンプルな形がありました。(なんで気づかなかったんだろう)

[1373] 続き 投稿者:タト 投稿日:2003/07/27(Sun) 18:32

おそらくは真中の部分が二回反転しているので気づきにくかったのかもしれません。なんかやけに簡単になってしまった…

しかし3/2ずらしはこのやり方では出来なさそうです。

[1374] 無題 投稿者:S太郎 投稿日:2003/07/27(Sun) 19:48

>紙に直行する方向の等高数さえあわせればうまくパターンがつくれるように見えます。

うーん。ほんとだ。お見事。等高数って役立つなあ。奇数系のずらしがむずかしそうだというのは私も思ってました。タトさんの[1362]のパターンも低中高で色つけてみたんですが、そちらはどう解釈したもんだろう。。

[1377] 2分の1ずらし 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/28(Mon) 19:52

S太郎さんの[1369]はなるほどです。実は私も非常に似たパターンを思いついてはいたのですが詰めが甘すぎて折れるかどうかを見逃しておりました。

どういうことかと言いますと、[1362] のタトさんのオリジナルパターンは横分子分解すると左図上図のようになるので、 これと同等な横分子パターンである左図下図の赤線の横分子パターンを用いれば、同じ2分の1ずらしパターンができるとは思ったのです。

ところが、私の場合はここからの詰めが甘くて、左図下図の赤線の横分子パターンから実際の折線パターンを求めるときに、左図下図中の黄色の折線が、なぜか盲点になってしまい見えなかったのです。
それで、左図下図中の緑色の折線を考えていたのですが、ここに、実際の折線がくるんじゃ、全然だめジャンとかと思いこんで、掲示板に図をアップするのを中断していたのです。

S太郎さんの図を見て、初めて自分がとんでもない見落としをしていたことに気づきました。

[1378] 2分の1ずらし と帯領域のうねり 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/28(Mon) 20:02

タトさんの[1372]のパターンは横分子分解して、帯領域のうねりを見てみても非常にきれいですね。
[1377]の下図と比べると、ダイナミックな、うねりっぷりが印象的に思います。

[1379] 新パターンの意義 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/28(Mon) 20:14

タトさんの [1362] のオリジナルパターンは、たしかに、単純なジャバラに還元できるようですが、オリジナルパターンの持つ面白さは、非常に重要だと思います。

桝目によって量子化された用紙上の点から、1:1や1:2や1:3や1:7や1:8などなどの長方形を発生させて、その対角線を折り線に使えば、それらの折り線のなす角度は予定調和的に折り畳み可能条件を満たすということは、特筆すべきことだと思います。

前川方式の設計が22.5度に量子化された角度を使って、予定調和的に折り畳み可能条件を満たすということに対して、タトさんのパターンは、ジャバラ桝目上の1:1や1:2や1:3や1:7や1:8などなどの長方形の対角線を折線として使えば、折り線の交差する各点で予定調和的に折り畳み可能条件を満たすということですから、その比較も非常に興味深いと思います。

[1380] n分の1ずらし 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/28(Mon) 20:20

それはそれとして、通常の蛇腹をつかったn分の1ずらしもまた面白そうですね

[1381] n分のmずらし 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/29(Tue) 22:20

n分のmずらし の折り方は、タトさんの最初のパターンできれいに折れますね。うーん、これまた感動モノ。

[1382] Re:[1381] n分のmずらし 投稿者:タト 投稿日:2003/07/30(Wed) 02:23

[1381]のパターンは右側の直角二等辺三角形がポイントのように見えます。2/3なんかも出来てしまうのか…。確かに感動モノですね。

あと、やはり紙に直行する方向の等高数だけでなく、横分子分解もしないと上手くいくとはいえないようです。[1372]が上手くいっているのはうまく整数比になっているからのようです。

[1384] 無理数比のずらし 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/30(Wed) 12:11

> [1381]のパターンは右側の直角二等辺三角形がポイントのように見えます。2/3なんかも出来てしまうのか…。確かに感動モノですね。
きっと、そうなんでしょうね。私もこの直角二等辺三角形の回転でいろいろ試してみました。

この回転はどんな角度でも良いので、結局は任意の無理数比のずらしが可能になるみたいですね。
(もっとも、ジャバラ的な観点からすると、整数比化されていない無理数の比率はどうやって応用するのか、悩ましいものがありますが、、、)

> あと、やはり紙に直行する方向の等高数だけでなく、横分子分解もしないと上手くいくとはいえないようです。[1372]が上手くいっているのはうまく整数比になっているからのようです。
そうですね。横分子分解等も含めて、紙の重なり方とかを検討しないと、実際に折ると紙の重なりによる干渉で、思っていた形にできないようなことがあるみたいですね。

[1385] 1分の1ずらし 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/30(Wed) 12:21

1分の1ずらしも、相当応用できそうですね。

[1386] 3分の4ずらし 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/30(Wed) 12:24

3分の4ずらし(1より大きくずらす)とかも多分可能ですね。

[1387] 1分の2ずらし 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/07/30(Wed) 14:30

このずらしは上限は1分の2ずらし くらいでしょうか。

もっとも1分の2ずらし は通常の蛇腹で実現できるので、折り線としては普通の感じですが、、、

[1388] 3/2 投稿者:タト 投稿日:2003/07/30(Wed) 15:47

図は既にノートパソコンで使っていた3/2ずらしパターンです。
1/2とは独立したパターンだと思っていたのですが[1381]のパターンの延長上にあるもののようです。

[1389] 面白いですね 投稿者:小松英夫 投稿日:2003/07/31(Thu) 01:50

それぞれ折ってみながらいちいち納得しました。実際に折ってみないと紙の動きってなかなか読めないものですね。
S太郎さんの[1369]を[1370]の等高線を見ずにやったらえらく悩んでしまいました。

タトさんの[1356]のパターンはホントに感動的ですねえ。
蛇腹による模様の折り出しの自由度がぐっとあがりそうな予感。

>直角二等辺三角形の回転
西川トラ(をるに折り図化されたバージョン)で脚の比率を変化させるのに使われているのもこの技法の一種のようです。前川さんの未発表のウサギでも使われてました。
例えばこの構造を挟んで鶴とstretched鶴を連続的に考えられますね(図)。

[1390] 回転 投稿者:タト 投稿日:2003/07/31(Thu) 14:56

直角二等辺三角形の回転面白いですね。
無理数の出る22.5度系を蛇腹やその他の構造につなぐのにも使えそうな気がしました。

回転しても角度が保たれているので川崎定理が常に成り立った状態になるわけですね。

[1391] 原子の回転 投稿者:めぐろ 投稿日:2003/08/01(Fri) 20:17

タトさんのパターンも、西川トラ(をるバージョン)も、前川さんの未発表のウサギも直角二等辺三角形の回転という観点からみると、確かに似ていますね。(前川さんの未発表のウサギは見たことがありませんが、きっと似ているんでしょう。)

西川トラ(をるバージョン)は知っていましたが、変わった折り方だなという印象しかありませんでした。こんなきれいな流れがあるとは!!!

想像を広げてみると、直角二等辺三角形原子に限らず、いろいろな原子を形を変えずに縮尺だけ変えながら回転させるのも、いろいろ応用できそうですね。


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