高校2年の時の作で、折り図を発表した作品の中では最も古いものです。技術的には、今となっては(当時でも、かな)あまり語ることもない作品ではありますが、現在の私の作風の原点ともいえるような要素を持っています。
そもそもこの狐は、同一の「動物の基本形」から折り分けた動物作品のひとつとして作られました。ある程度技術が付いて、作りたいテーマを作れるようになり、次々と作品が出来ることが面白くてたまらなかった頃です。狐はその中でも素直に折り出されたモデルで一番のお気に入りでした。
首の折り方など、ところどころ強引ではあるのですが、全体の流れるようなイメージとそれをシンプルな形で表した「尻尾」に大きな満足感がありました。この感覚は以後の創作において、ひとつの拠り所となっていきます。
96年に『をる』に折り図が掲載されることになり、初めての折り図発表ということでやっぱり相当うれしかったですね。知り合いがそれを見て折ってくれたりして。
折り図の発表を前提とした、再現性の高い作品作りを目指さねばという意識の発端となった点でも、私にとっては意味のある作品です。