角度系

角度系・格子系の予定調和性、交点の縮重




[2030] 角度系 (その1) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/18(Sun) 16:20

折り紙の展開図に関して、しばしば、22.5度系とか15度系ということがいわれます。

例えば、22.5度系なら、その展開図にある折線のなす角は全て、22.5度の整数倍になっています。

このような折線構成がうまくいくのは、折線の交叉する頂点において、頂点周りの角度を順に+、-、+、-と加えていった合計が0度になるという条件(これは、折線の交叉する頂点が平面的に折れるための必要条件)が、予定調和的に満たされやすいから、というのが、一つの考え方としてあります。

すごく大雑把な話をすれば、このような予定調和的性格は、22.5度系や15度系の角度系に限ったことではなく、180度の整数分割系の角度系ならみな持っています。

たとえば、20度系の折線構成でも22.5度系や15度系と似た予定調和が起きます。ただ、20度という角度を折るのは、22.5度や15度のように自然に折れるわけではないという問題はありますが、、、、、

10度系でも36度系でも予定調和的整合性は出てくるのですが、だからといって、2度系とか、1度系にしてしまうと、角度パターンが多すぎて、予定調和的整合性の恩恵を受ける確率が少なくなってしまいます。

例えば、22.5度系なら、可能な角度は、
22.5度, 45度, 67,5度, 90度, 112.5度, 135度, 157.5度
の7通りしかありませんが(180度以上の角度は平面に折りたためる展開図上には存在しない)、

15度系なら、可能な角度は、
15度, 30度, 45度, 60度, 75度, 90度, 105度, 120度, 135度, 150度, 165度
の11通りあるわけです。

10度系なら、可能な角度は、
10度, 20度, 30度,,,,,150度, 160度, 170度
の17通りあるわけです。

これが1度系になってくると、展開図上の折線のなす可能な角度は、
1度, 2度, 3度,,,,,176度, 178度, 179度
と179通りにもなります。
これでは、22.5度系のように、折っていてぴたっと折線が重なるというような偶然がたやすく起こるわけがありません。
こんなわけで、予定調和を引きおこす角度系は、22.5度系でも、20度系でも、15度系でも、10度系でも、36度系でも、2度系でも、1度系でも、90度系でも、45度系でも、なんでもいいのですが、その予定調和的気持ちの良い折り方が実現する確率を上げるためには展開図上に現れうる角度パターンの数はある程度少ない方がいいのです。

ただ、現れうる角度の数が少ない方がいいからといって、90度系とかを使うと、これは、展開図上の折線のなす可能な角度パターンは、
90度
のただ1通りですから、折線が単純で、折っていて折線が重なるというようなことは、奇跡的な偶然ではなく、あたりまえのこととして感じられます。これでは予定調和的快感はなくなってしまいます。

45度系(これは蛇腹の折線系)ではどうでしょうか。45度系展開図上の折線のなす可能な角度は、
45度, 90度, 135度
の3通りです。90度系よりはずっと複雑ですが、まだ、予定調和的快感を感じるには、現れうる角度が少なすぎて、蛇腹で、予定調和的快感を感じるという人はあまりいないでしょう。

30度系ではどうでしょうか。30度系展開図上の折線のなす可能な角度は、
30度, 60度, 90度, 120度, 150度
の5通りで、この辺から予定調和的快感を感じる人も、多少いるのではという気がします。

以上のようなことを考えると、予定調和的整合性を快く感じることができる角度系は10度系か30度系の間にあるのではと個人的には思います。その中でも、折りやすさを考えれば、22.5度系が最も有利で、15度系がそれに続きます。これ以外の角度系としては、折紙設計的な興味から、20度系が魅力的ですが、多分まだ作例はないと思います。

以上は整数の角度を生成元にする角度系での予定調和ですが、それらとはまた違った角度系でも予定調和的整合性は出てきます。(以下続きます)

[2031] 角度系 (その2) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/18(Sun) 16:26

左図の上図は、ある、ねじり折りのパターン

左図の下図は、上図のねじり折りの頂点の一つを拡大して、座標軸をつけたものです。
ここで、以下のことに注目してください。
折線Aは座標(2,-1)を通ります。そこを水色の円で印をつけておきました。
折線Bは座標(-1,-1)を通ります。そこも水色の円で印をつけておきました。
折線Cは座標(-5,3)を通ります。そこも水色の円で印をつけておきました。
折線Dは座標(-9,2)を通ります。そこも水色の円で印をつけておきました。

このように、方眼格子の上でねじり折りなどをすると、その折線が予定調和的にあちこちの格子点の真上を通過するという現象が起こります。

ここで、方眼格子点の任意の異なる2格子点の上を通る折線を格子点上折線ということにすると、「格子点上折線のみで構成される展開図でも予定調和的整合性が出てくる」わけです。

なぜ、このような予定調和性がでてくるかを考えてみましょう。

具体的な例として、左下図で、最初に格子点上折線の条件を満たすようにして折線A,B,Cを決めたとしましょう。
そこにから頂点Oが平面に折りたためるように折線Dを発生させた場合、折線Dもまた格子点上折線になることを見てみましょう。
例えば、左下図の折線Aの傾きは -1/2 ですが、このときx軸と折線Aのなす角度は、tanの逆関数をatnとして、atn(-1/2)となります。

一般に頂点Oを通る折線がO以外の格子点の上を通るということは、その折線の傾きが
atn(I/J)  I,Jは任意の整数
という形で表せるということと同じです。
この形で表せる角度を集めて、集合Kとしておきましょう。
(というか、この定義だとJが0のとき困ってしまうのだが、まあ、大まかな流れということで,,,)

すると、以下のことがわかります。(s ∈ K はsはKに含まれるという意味)

s ∈ K かつ t ∈ K ならば、s+t ∈ K
同様に
s ∈ K かつ t ∈ K ならば、s-t ∈ K

なぜこうなるかは、後でかきます。

具体的にいうと、左下図で、頂点Oから出る折線A,B,Cは、それぞれ、対応する格子点の上を通るので、その折線の傾きは、
atn(I/J)  I,Jは任意の整数
という形で表せます。
したがって、各折線A,B,Cとx軸がなす角度をそれぞれa,b,cとすると、
a∈K, b∈K, c∈K です。

ここで、頂点Oが平面に折りたためるように折線Dを発生させ、折線Dとx軸がなす角度をdとしましょう。
d=c+角度COD
ですね。
このとき、角度COD は 180度‐角度AOBですから
d=c+180度‐角度AOB

ここで、角度AOB = b-a ですから、
c+180度‐(b-a)=180度+a‐b+c
です。
180度∈K、a∈K, b∈K, c∈K  ですから、
d∈Kです。
したがって、d は 
atn(I/J)  I,Jは整数
と表せるので、折線Dは座標(I,J)の格子点上を通ります。


[2032] 角度系 (その3) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/18(Sun) 16:27

[2031] で「なぜこうなるかは、後でかきます。」としたところの説明です。

頂点Oを通る折線がO以外の格子点の上を通るということは、「その折線の傾きが、任意の整数I,Jを用いて、atn(I/J) と表せる」ということです。
I/Jは有理数ですから、これは以下のように言い換えても同じことです。
「その折線の傾きが、任意の有理数aを用いて、atn(a) と表せる」

この形で表せる角度を集めて、集合Kとします。

ここで、以下のことが成り立ちます。

s=atn(α)、t=atn(β)、α,βは任意の有理数とすると、
s ∈ K かつ t ∈ K ならば、s+t ∈ K 

なぜこうなるかというと、(高校時代の数学の教科書にあるように)
tan(s+t) =(tan(s) + tan(t)) / (1-tan(s)tan(t))
なのですが、
定義より、tan(s)=α、tan(t)=β なので
tan(s+t) =(α+β)/ (1-αβ)
すなわち、
s+t =atn( (α+β)/(1-αβ) )
となります。
ここで、α,βは有理数なので、 (α+β)/(1-αβ)も有理数です。
したがって、s+t ∈ K となります。

同様に
s ∈ K かつ t ∈ K ならば、s-t ∈ K

以上です。

[2033] 角度系 (その4) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/18(Sun) 17:07

[2031]や[2032]を手短にいうと、

方眼紙のような正方形の格子が描かれている用紙を折るとして、
任意の格子点aを通る折線Aと、
任意の格子点bを通る折線Bと、
任意の格子点cを通る折線Cが、
任意の格子点oで交わったとき、
そこから発生する折線Dは、かならずどこか適当な格子点dの上を通る


ということです。

[2034] 角度系 (その5) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/19(Mon) 18:53

[2031]の格子点を通る折線の予定調和性については、いろいろな形で現れます。

たとえば、この掲示板の[1356]以降の、タトさんのじゃばらじゃばらした折紙 は、本質的に同じ現象(だと思います)の、興味深い先例となっています。

[2037] 無題 投稿者:タト 投稿日:2007/02/20(Tue) 12:13

[2031]以降の格子の予定調和性は、めぐろさんが[2032]でかかれたとおりtanの加法定理が有理数→有理数という性質を持つということが重要そうですね。

角度系は、頂点周りで川崎定理を満たしやすいことに加えて、角度制限の結果タイリングの性質によって、交点が縮重しやすいことが重要だと思います。
45°,60°,90°だと全てが縮重してしまって新しいパターンが生まれない一方で、30°、22.5°、15°だとどんどん新しいパターンを生成できつつ、交点の縮重が起きているという状態になります。細かくしすぎると交点が全部バラバラで縮重しないということになります。

[2038] タトさんへ 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/20(Tue) 19:21

>tanの加法定理が有理数→有理数という性質を持つということが重要そうですね。

そうですね。折り紙で使える角度系というのは、その角度系に現れうる全ての角度から成り立つ集合Kを考えたとき、a,b∈K→a+b∈Kという性質を持つということが重要なのだと思います。

いま、折り紙から全く関係なしに以下の条件を満たすような実数の集合Kを考えたとします。

(1) Kは0以上180未満の実数
(2) Kに含まれる任意の2つの元に対して足し算ができる(もし足し算の結果が180以上の数になった場合、その数を180で割った余りを足し算の結果とする)

すると、この集合Kは、自分自身も群になっていますし、Kの適当な部分集合の中にも群になっているものがみつかりますよね。
こうして見つかった群の適当な1個を取り上げれば、その群の元だけが角度として許されるような角度系が作れると思うのです。

例えば、atn(有理数)で構成されるKの部分集合Kaを考えると、KaはKの部分群になっていて、これに対応する角度系が格子状の点を通る折線で構成される角度系に対応すると思うわけです。

このKaは無限群でしょうから、展開図上で折り線を拡張していけば、無限に新しい角度が出てしまうでしょう。

もしもKaの部分群で有限群が見つかれば、それに対応する角度系に現れる角度も有限に限られますから、その角度系で展開図を書けば、予定調和の起こりやすい面白い展開図が描けるだろうになどと思うのですが、そんな部分群あるでしょうかね、、、?

今のところKの部分群としては、K自身(これは、角度制限のない自由な展開図の角度系に相当します)、180/n(nは任意の自然数)を生成元とする有限巡回群(22.5度系とか20度系とかに相当)、atn(有理数)を元とする無限群、の3種類に対応する角度系しか折られていないと思いますが、もし、これら以外のKの有限な部分群が見つかれば、折紙設計的には面白いのになあなどと思います。
実際に作品を折るのに役立つかどうかはわかりませんが、、、

[2039] [2038] の訂正 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/20(Tue) 21:12

[2038]で
Kの部分群で180/n(nは任意の自然数)を生成元とする有限巡回群以外のKの有限な部分群が見つかれば、、、
などと書きましたが、Kの部分群で有限なものは、必ず、180/nを生成元とする有限巡回群になりますね。
したがって、折紙の角度系で、角度パターンが有限のものは180/n度系(nは任意の自然数)しかありませんね。

[2040] 交点の縮重 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/20(Tue) 22:17

[2037] でタトさんが、交点が縮重しやすいことが重要と書かれましたが、私もその通りだと思います。

小松さんも御自身のページのキリンコーナーなどで解説されていますが、交点が縮重という点に何らかの折り紙的価値を見出す感覚というのは普遍的な感覚なのかもしれませんね。

ただ、私自身はそう思うと同時に、あえて縮重の起こりにくい角度系を使って何か折ってみたいなあなどとも思ったりしています。

とりあえず面配置法の折線発生操作を角度系に応じた角度に制限して行えば、ある角度系で、創作途中の展開図があったとして、その展開図上のまだ折線のついていない適当な場所に、多数の折り線が縮重する交点を適当に追加しても、それはそれで角度系から外れずに全体的な折線付けをすることはできるはずなので、そういう力技的なのもいつか折ってみたい気もします。

[2041] 縮重の起こりにくい角度系 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 00:05

縮重の起こりにくい角度系って具体的にどういうものか考えてみました。
結局180/n系 はnが何であっても、交点は必然的に縮重するので(小松さんのページにいろいろ参考になることが書かれています)結局 atn(有理数)系しか現状ではないのですね。

[2042] 角度系 投稿者:小松英夫 投稿日:2007/02/21(Wed) 02:42

ご無沙汰してます。復帰されてからいつも覗かせていただいてますが、書き込む機会を逸してしまってましてすみません(汗)。面配置法・蛇腹顔などなど、どのトピックも刺激的です。

さて角度系についてですが、「ビバ」で書かれていた90度/nが実は180度/nでも良かったというのは目からウロコでした。早速20度のメッシュ(前川紙)を書いて「おーっ」と感嘆したりして。

創作での応用性を考えると、「交点の縮重」という観点に加えて、折るに従って増える交点が用紙内である程度バラつく方が折りやすいかなあという直感があります。
例えば角度の組み合わせということでは18度の方が20度よりも複雑なメッシュになるのかなと思ったのですが、実際に引いてみると20度の方は線がまだ少ない段階で非常に接近した交点が発生してきて、それがネックになりそうな第一印象を持ちました。
いろいろ見ていくと、22.5度のバランスがちょっと奇跡的に見えたりしますね。

[2043] 小松さんへ 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 22:13

おひさしぶりです。
面配置法や180度/n角度系など、小松さんのやられていることをおおいに参考にさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

180度/nの角度系で、nをいろいろに変えた場合、メッシュの交点の縮重がどうなるかは面白いところですよね。

自分的には、nが大きくなればそのまま複雑になるのかな、などと考えていました。後で、その辺もアップしようと思っていますので、また、読んでやってください。ただ、その内容は、いろいろな角度系で実際に作品を創作したわけではなく、条件をいろいろ限って、あれこれ想像しているだけなので、あまり、確証もないのですが、、、

[2044] 角度系 (その7) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 22:26

180度/nの角度系で、nをいろいろに変えた場合、メッシュの交点の縮重がどうなるかについて書いてみます。ただ、実際に作品を創作して確かめているわけではなく条件もいろいろ限っていますので、突っ込みどころ満載かと思います。

お気づきの点がありましたら、よろしく突っ込みのほどお願い致します。

[2045] 角度系 (その8) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 22:30

ある角度系のメッシュの縮重のようすを評価する手法を考えましたので、これから書いていきたいと思います。
以下では角度系として、22.5度系を例にとって、話を進めます。

[2046] 角度系 (その9) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 22:37

22.5度系のメッシュの縮重のようすを評価するため、まず、平面の上に1点を置きます。

[2047] 角度系 (その10) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 22:40

平面状に置いた1点を通る折線で、22.5度系で可能なものを全部を描きます

[2048] 角度系 (その11) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 22:43

平面状に置いた1点を中心とする円を書きます。半径は適当です。

[2049] 角度系 (その12) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 22:49

[2048] の図で、折線と円の交差点が16点あります。
この交差点を一つ取り上げて、その交差点を通る折線で、22.5度系で可能なものを全部を描きます。

これを16点全部についてやります。

[2050] 角度系 (その13) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 22:51

ああっ。なんだかすごいことに

[2052] 角度系 (その15) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 23:03

[2051]の青丸の中は、このままではごちゃごちゃしているので、わかりやすくなるように図を整理します。

[2053] 角度系 (その16) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 23:15

[2051]の図は、左図の図形を重ね書きすることによってできたものとみなせます。

具体的には、左図を
22,5度回転させたもの、
45度回転させたもの、
67.5度回転させたもの、、、
337.5度回転させたもの、
360度回転させたもの
をつくって、全部重ねあわせれば[2051]の図になります。

[2054] 角度系 (その17) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 23:28

[2053]の中心点を通る黒い直線と、ピンクの直線、赤い直線の交差点に緑の点を打ちます。

[2055] 角度系 (その18) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 23:40

[2054]の緑の点と中心点との距離に注目します。

もし、異なる2つの緑の点が、中心点から同じ距離だけ離れていたら、そのことは、[2051] の青円の中で折線が交差していることを意味します。

[2056] 角度系 (その19) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 23:43

要するに、22.5度系の縮重のようすは、[2054] 図の全ての緑点と中心点との距離を測って、そのなかに、同じ長さがどれだけあるかで評価できると思うのです。

[2057] 角度系 (その20) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/21(Wed) 23:48

[2054]の図をそのまま使って22.5度系の縮重を評価をしてもよいのですが、ついでなので、[2054]の図をもっと見やすくします。
具体的には、下側の赤い直線を146.25度反時計回りに回転させます。

[2058] 角度系(その21) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/22(Thu) 00:41

こんな図になります。

[2059] 角度系(その22) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/22(Thu) 00:45

まとめますと、22.5度系の縮重のようすを評価するには、[2058]の図のように、

(1)左図のように、1点を中心点とする円を描く
(2)中心点から放射上に伸びる直線を、22.5度おきに描く
(3)各直線と円の交点を通る水平線をえがく
(4)(2)の直線と(3)の水平線の交点に緑の点を打つ
(5)各緑点と中心点との距離を測っていく
(6)同じ距離だけ中心点と離れている緑点がどの程度あるか探す

という操作を行えばよいのでは、と思うのです。

[2065] 角度系(その26) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 01:33

ここで、いまやっている操作の意味を手短に書くと、以下のようになります。

22.5度系のメッシュ([2050]図のような全方位的なもの)の特徴を調べるには、2次元メッシュを直接調べるかわりに、1次元の数直線上で規則的に増殖していく数の集合の特徴を調べることが便利である。

この数直線上の数の集合とは、[2058]の図の各水平線の高さを元とする集合のことです。

[2066] 角度系(その27) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 01:56

[2058]の図では水平線の数はまだそれほど多くはありません。

ところで、実際の展開図上では、折線の交差点から新たに折線を発生させ、その折線が展開図のあちこちで交差するということが起こります。
[2058]の図の水平線は、折線に対応していますから、展開図上で新たに折線が増えることに対応して、[2058]の図の水平線も大量に増えてきます。

これらの水平線の高さを、[2065]の1次元の数直線上に点としてプロットしていくと、1次元の数直線は、すぐに点でびっしりと埋まっていきます。

[2067] 角度系(その28) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 02:14

ためしに、[2065]の1次元の数直線上から、適当にa点とb点の2点を選んでみましょう。

これは、実際の展開図上では、2系統の折線を選んだということに対応します。
すると、実際の展開図上では、2系統の折線による交差点が決まります。そして、その交差点から新たな折線が数本発生します。

1次元の数直線上でa点とb点を選んだ場合も、展開図上に発生した新たな折線の数だけ新たな点が追加されます。
このとき、a点とb点の座標によって、新たに追加される点の座標が決まります。

[2068] 角度系(その29) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 09:05

いま考えている図は、22.5度づつ回転させては重ね合わせていくことで簡単に、22.5度系のメッシュを描くことができます。

実際にたしかめてみましょう。

[2069] 角度系(その30) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 09:50

22.5度づつ回転させた16個の図を次に示します。

[2070] 角度系(その31) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 09:50



[2071] 角度系(その32) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 10:07

[2070] の16個の図を全て重ね合わせると左図になります。

[2072] 角度系(その33) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 10:15

[2071]の図は、中心点周りに22.5°の周期で同じ模様が繰り返されていますから、結局、左図の2本の青線間の22.5°分の模様を調べれば十分ということになります。

[2073] 角度系(その34) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 11:51

[2072]の青線の間の部分だけ拡大してみました。

図中には2本の折線が交差した点が大量にありますが、これらの点からは、22.5°系で可能な折線の全てを発生させていくという操作を繰り返すことによって、最終的には実際の22.5°系の作品の展開図上の折線をすべてカバーするようなメッシュが描けます。

[2074] 角度系(その35) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 12:03

これまでのことをまとめると結局、左図のような対応関係があるということになります。

[2075] 角度系(その36) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 12:11

[2074]の図の対応関係を調べていくと、左図の緑色の線どうしが対応関係にあることがわかります。

[2076] 角度系(その37) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 12:17

同様に左図の青色の線どうしも対応関係にあることがわかります。

[2077] 角度系(その38) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 12:43

残りの直線の対応関係もみな調べると左図のようになります。

[2078] 角度系(その39) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 12:47

結局、[2073]の図は左図のような図形を縮尺を変えて重ね合わせたものと見なせることがわかりました。

[2079] 角度系(その40) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 14:09

[2077]の左上図の水平線の高さは、[2078]の黒太線と中心点との距離の最小値のことなので、左図のような対応関係があります。

[2080] 角度系(その41) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 14:19


くどくなりますが、左図上のグラフは左図下の数直線上の点a,b,c,d,eであらわせるのです。

[2081] 角度系(その42) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 14:42

[2080] のグラフでは、あちこちで、色つきの直線が交差しています。これらの直線は折線に対応しますから、当然その交差点は展開図上での折線の頂点に対応しています。

展開図を折っていくときは、折線が交差してできた頂点から、新たに折線を発生させていくという操作を繰り返しおこないますから、[2080] のグラフでも、あちこちの交差点から、新たに折線を発生させていきましょう。

[2082] 角度系(その43) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/24(Sat) 14:48


例えば、左図中の赤丸で囲んだ交差点から、22.5°系で可能な折線を全て発生させたらどうなるでしょうか。

[2083] 22.5度系 投稿者:タト 投稿日:2007/02/24(Sat) 16:27

22.5度系の座標縮重をついて少しいじったところ、めぐろさんの格子(蛇腹)の角度系についての考察のように実数の部分集合が取り出せました。

詳細は場合分けがたくさん出てくるので後で載せようと思いますが、22.5度系のグリッドのある交点から22.5度の倍数の直線を引くことによって次々と新しい点を生み出していく時に、全ての点の座標値は大きくない整数m,n,lを用いて(m+n√2)/(2^l)と表せるということです。

これをコンピュータ上で利用すると22.5度系の折紙の座標値を誤差無しで計算できます。

[2084] タト さんへ 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/25(Sun) 18:54

>全ての点の座標値は大きくない整数m,n,lを用いて(m+n√2)/(2^l)と表せるということです。

きれいにまとまった数字になりますね。分母などは、もっと複雑になりそうな気がしますが、2のべき乗ですむのですね。
これは、覚えておくとなにかと便利そうですね。

「任意の整数a,bを用いて a/(2^b) と表せる数の集合は加算について閉じている。」というようなことも関係しているのでしょうかね。

[2085] 角度系について 投稿者:daidai 投稿日:2007/02/26(Mon) 00:04

はじめまして、渡辺と申します。
以前より時折拝見してましたが、自分も興味を持っている角度系について盛り上がっているようですので、遅ればせながら参加させてください。
# とは言っても、質問ばかりになってしまうと思いますが...

以前より、角度系の交点は数体の整数環として記述するのが自然なのではないかと思っていましたが、めぐろさんの昨今の議論を拝見すると、同じような感触を持っていらっしゃるようです。
ただ、「角の等分」という観点から円分体を考えるべきなのか、それとも「角の等分は常にある線分を一定の比率に分割する(22.5°ならば1:√2に分割する)」という観点から実二次体の2次元ベクトル空間を考えるべきなのか迷っています。
角度系では、おそらく「折る」という操作を代数的に記述できますので、どちらかに話を特定できればかなり色んなことがわかるのではないかなぁ、と考えています。
めぐろさんのご意見をお聞かせいただければ幸いです。

いきなり長文で失礼しました。

[2087] 22.5度系つづき 投稿者:タト 投稿日:2007/02/26(Mon) 12:59

(m+n√2)/(2^l)で表される二次元座標は加算・減算・乗算において閉じています。そして、22.5°系グリッドによる交点生成操作においても閉じている。ということになります。

また、おもしろいのは45°回転において閉じているものの、22.5°回転において閉じていないという点です。22.5°回転を行うと11.25°系になってしまうということになります。

[2088] 横槍:[2085] 角度系について 投稿者:タト 投稿日:2007/02/26(Mon) 13:16

整数環とか円分体とか知らないワードが出てきていちいち検索してしまいました…。勉強しなくては。

22.5°系は角度が一つの整数で決定し、座標が複数の整数の組み合わせで作られる無理数になるのに対して、格子(神谷蛇腹?)系は座標が整数値をとるかわりに、角度が複数の整数の組み合わせでできる無理数(atan(n/m))となるという特徴があるという対比が面白いと思いました。

展開図操作・折り操作に関して、角度値が閉じていることと座標値が閉じていること両方が重要なのではないかと感じます。必要になる整数の個数と値の範囲で複雑さと縮重のしやすさが変化する気がします

[2089] 数論序論? 投稿者:daidai 投稿日:2007/02/26(Mon) 22:56

タトさん>整数環とか円分体とか知らないワードが出てきていちいち検索してしまいました…。勉強しなくては。

勢いに任せて書き込んでしまいました。ごめんなさい。
タトさんはご自分で調べられたようですが、他の人向けに少し補完しておきます。

体:加減乗除について閉じている集合。有理数全体とか複素数全体とか。
環:加減乗について閉じている集合。整数とか。整数係数の複素数とか。
数体:有理数に√2とか、虚数単位iとかを付け加えたもの。複素数の部分集合になります。
整数環(正式には極大整環だっけ?):有理数の中に整数があるように、数体にも何かがあります。
円分体:複素平面に半径1の円を描き、1周2πの整数等分となる値を有理数に付け加えたもの。

ちなみに、数体の整数環のことをlattice (格子)と呼びます。私が角度系のことを「格子系」と総称しているのはココが語源だったり。

[2091] daidaiさんへ 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/27(Tue) 01:40

こちらこそはじめまして。いま15°系に取り組んでおられるdaidaiさんですよね(人違いだったらごめんなさい)。

角度系は22.5°系のように、きれいな規則性がありそうなのでおりにふれ考えてはいるのですが、なかなかすっきりとわからなくずーっと引っかかった感じでいます。

角度系の交点ってどうあつかえばいいのでしょうね。とりあえず。22.5°系は、等方的に可能な折線を全部描いて、いくようにすれば、2次元の話ではなくて1次元の数直線上の話になるので、それを調べようというのがいま思っていることなのですが、最終的には、2次元で話をしていかないと、すっきりとわかったというようなことにはならないんでしょうね。

二次元でやるとなると角度系の交点はどうやって記述すればいいのでしょうね。

まずは22.5°系に話を限って、タトさんの(m+n√2)/(2^l)で表せる数の2次元ベクトル空間で考えていきたい気がしますがどうなんでしょうね。

[2092] タトさんへ 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/27(Tue) 02:11

22.5°系の(m+n√2)/(2^l)で表される二次元座標は調べていくといろいろなことがわかりそうですね。

類推で、45°系のm/(2^n)で表される二次元座標とかも、調べていくと面白そうですね。

[2095] 22.5°系で発生する頂点 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/27(Tue) 23:58

22.5°系で2点A,Bが与えられたときに新たに発生しうる頂点を図に描いてみました。
同じ色の頂点は同じ円周上に等間隔で並んでいます。この段階ですでに縮重しまくってますね

[2096] 22.5°系で発生する頂点 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/28(Wed) 01:44

22.5°系の展開図を構成するには、最初に一つの頂点周りに破綻なく原子をしきつめて、順次、周囲の頂点周りに破綻なく原子をしきつめていくという操作をすればできそう。

[2097] 22.5°系で発生する頂点 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/28(Wed) 02:03

左図で、22.5°系において、長さ1の折線を22.5°回転すると、可能な折線の長さは、a か b か c か d か e か f のいずれかしかありません。22.5°回転の操作を16回やると、22.5×16=360でちょうど頂点Aの周りに一回りしたことになります。

この一回りで、線分の長さがどうなるかというと、aからfまでの数を適当に16個(重複OK)選んで積を計算したものになります。

この長さは、展開図が破綻しないためには1に等しいことが望まれます。

このことを考えれば、局地的な観点に限れば、22.5°系でさまざまなパターンが縮重しながら発展していくというのはなんとなく納得できそうです。

[2098] 22.5°系で発生する頂点 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/28(Wed) 23:46

[2097]の考え方はかなり有力な気がします。

そこで、使いやすいように長さを表すアルファベットを付け替えておきます。

[2099] 22.5°系で発生する頂点  (5) 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/02/28(Wed) 23:50

[2098]の図で、f=1/a、 e=1/b、 d=1/cです。

[2100] Re:[2091] daidaiさんへ 投稿者:daidai 投稿日:2007/03/01(Thu) 00:20

> こちらこそはじめまして。
> いま15°系に取り組んでおられるdaidaiさんですよね(人違いだったらごめんなさい)。
うちを覗いていただいていたのですね。
ありがたいやら恥ずかしいやらです ^^;)

下の方では少し先走ってしまいましたが、めぐろさんが取り組んでいらっしゃるような射影幾何的なアプローチから何が出てくるのか、楽しみにしています。
# まだ十分理解しているとは言い難いのですが...

[2106] 20度系 投稿者:めぐろ 投稿日:2007/03/19(Mon) 22:20

20度系でとりあえず折線をつけてみました。

[2042]の小松さんや小春苑の渡辺さんの言われる通り、22.5度系と比較すると20度系はかなり使いにくい感じがします。


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