2011/12製。正規作品としてギャラリーページに掲載していましたが、没にすることにしました。以下はギャラリーページに載せていた解説文。
辰年ということでタツノオトシゴを折りましたが、思いのほか苦労しました。タツノオトシゴはカド配置としてはシンプルに考えられる反面、表現はどうとでもなりそうで、そこが悩ましいのです。
イメージを練るうちに、頭のイメージは、用紙のフチがモデルの腹方向に来る〈腹割れ〉タイプ、胴体のイメージは、用紙のフチがモデルの背中方向に来る〈背割れ〉タイプで見えてきたので、基本形を折ったあとに首のところでグルッとねじって仕上げる、通称〈ブリル式〉の構造となっています(写真は2体で違う向きにねじっていますので、表裏の形状の差を見比べてみてください)。1980年ごろにデビッド・ブリルさんが「サイ」「ゾウ」などの作品で使った技法で、近年の有名どころでは、神谷さんの「龍神」も同様の構造になっています。
私も、以前からこの背割れー腹割れの変換をもっと構造に組み込んで使ってみたいと思って、牛を試作したりしているのですが、まだ作品としては結実していません。この作品は、本当に単純なかたちでねじっただけですが、その部分が造形上不自然に見えないようにしようと、地味に検討してみました。どうでしょうか。